【柳井】ほとんどの人が実際にそうなんですけど、与えられたものでしか自己実現はできないと思っているんです。いま持っているものでしか自己実現はできない。僕はいつも「人間のピークは25歳」と言っているんです。
我々のようなビジネスマンでも、弘兼先生のような漫画家でも、あるいはスポーツ選手、芸能人、学者、政治家でも、自分の才能にいつ気付けるかは、人によって違う。ただし、いずれにしても、自分の持っている才能のもとは、だいたい25歳ぐらいまでにできている。その才能にいつ気付けるか、という違いなんです。
【弘兼】飽くなき成長志向を持つ柳井さんは、天性の経営者だと思います。一方で、そのスピードについていけないという人もいるのでは?
【柳井】でも、僕も最近、宗旨は替えたんですよ。重要なのは、スピードよりも、成長し続けること。僕は死ぬまで成長したい。それが一番いい人生だと思うんですよね。
若い人は残り時間がたくさんあると錯覚しているけど、いつ死ぬかはわからない。明日死ぬかもしれない。
それなら今日が最後の日だと思って、行動するべきです。若いころはぼやっとして、わからないですよね。僕もそれがわかったのは35歳ぐらいなので、ほとんどの人がそうだと思うんですよ。最終的な目標を決めて、それに対して具体的に行動しなければ、あなたの人生とほかの人の人生は違わないかもしれない。それではあまり意味がないんじゃないかなと、僕は思うんです。