【弘兼】他社で活躍する卒業生といえば、2002年から05年まで、柳井さんに代わってFRの社長を務めた玉塚元一さんが、2014年にローソンの社長に就任しましたね。
【柳井】彼は優秀です。よく勘違いされているんですけど、僕がクビにしたんじゃない。彼が「辞めたい」と言ったんです。彼の考える経営者像と僕の考える経営者像が、ちょっと違っていた。彼はすごくまとも。僕が異常なんですよ(笑)。
僕の考え方はベンチャービジネスなので、急成長を遂げたあとには海外に出て行こうと考えました。だから、そのための人材や仕組みを早急に整えたかった。一方、彼は01年に4100億円あった売り上げが、02年に3400億円、03年に3000億円と急減した時期に立て直しみたいなことをやったので、もっと安定成長したいと思っていた。そのことが僕にはよくないように見えたんです。そんな認識の違いがあった。
今回、ローソンという大会社の社長になりました。社内向けの講演を頼まれて引き受けたこともあります。(セブン&アイHD会長の)鈴木敏文さんには怒られるかもしれないけど、セブン-イレブンに匹敵するか、超えるような会社になってもらいたいなというふうに思います。