深刻な併用も防いだ。患者が、あるかかりつけ薬局に持参したお薬手帳には、肺がんの抗がん剤投与を示すシールが貼られていた。一部の解熱鎮痛剤との併用で副作用が強まる抗がん剤だ。薬局の薬歴簿からは、患者が頭痛もちであることがうかがわれた。確認すると、頭痛時に市販の解熱鎮痛剤を使っている。併用を回避すべき商品で、別の薬に変更された。
情報が来ても、薬剤師に力がないと活用できない。同院は薬剤部を中心に、13年前から月1回、地元の南区薬剤師会と勉強会を重ねてきた。信頼関係も育ち、地元薬剤師の声を病院側も反映する。今年6月、同院は約150種類の外来抗がん剤治療の全てのレジメンと患者向け説明書を、個人情報は伏せてホームページに公開した。薬局側から「レジメンが分かると、副作用の見通しが立つ。患者さんに具体的な説明ができる」と要望があったからだ。
薬局薬剤師の提案で、患者の生活の質(QOL)が向上したケースもある。患者のひどい吐き気と薬の増量について、薬局が薬剤部に相談したときは、院内カンファレンスを経て、吐き気止めが増量された。薬剤部は薬局に比べて専門知識が豊富で、医師と顔の見える関係がある。そこが中継した結果、患者は苦しまずに治療を継続したという。