点滴の内容が記された化学療法シール。薬局の薬剤師は末尾のアドレスからレジメンの情報を得る【拡大】
一方、薬局薬剤師側が「責任が重くなる」「知識がない」と尻込みするケースも指摘される。日本臨床腫瘍薬学会は2年前、外来に携わる薬剤師の力量引き上げを目指し、「外来がん治療認定薬剤師制度」を発足させた。遠藤理事長は「患者さんはいずれ地域に帰る。継続的にかかわるのは、薬局の薬剤師だ。薬剤師が知識をつけ、知識をつけた人が地域で中心になって態勢を整えてほしい」と話している。
■横浜市大センター病院、連携で深刻な併用阻止
薬局側が提案、患者のQOL向上
横浜市にある横浜市立大学付属市民総合医療センターは平成20年から、外来で抗がん剤治療を受けた患者に、点滴の内容を記した「化学療法シール」を発行している。お薬手帳に貼れば、院外薬局の薬剤師にも、点滴で何が投与されたかが分かり、副作用の予測がつく仕組みだ。
薬剤部の橋本真也副部長は「外来抗がん剤治療が広がり、薬の効果を説明したり、副作用を管理したりするには院外薬局の力が必要。治療内容が分からないと、薬局の薬剤師は手探りで説明するしかない」と話す。デリケートな情報だが、患者の評価は高い。患者150人に行った調査では、85%がシールをお薬手帳に貼り、「薬局薬剤師と点滴内容や副作用対策の話をした」人は54%。うち、相談内容が「とても有用」と「有用」とした人は81%に上った。