院内で投与される点滴の場合、抗がん剤の知識が豊富な病院薬剤師がつく。だが、院外で受け取る経口抗がん剤では薬剤師との接点が薄くなる場合もある。服用方法が複雑だったり、患者に高齢者が多かったりするだけに、薬を見せながら、繰り返し説明することが求められる。だが、院外薬局には、患者がどんな治療を受け、どう説明されたのか情報がないことが多い。
日本臨床腫瘍薬学会の遠藤一司理事長は「1週間後、2週間後の副作用はある程度、見通しがつく。患者さんはすごく不安だから、薬剤師が『こういう症状が出たら、こうしてください』と、説明しないといけない。大事なのは、医師も、病院薬剤師も、薬局薬剤師も一貫した説明をすること。情報共有と連携が必須です」と言う。
抗がん剤治療が特に問題となるのは、副作用をコントロールできないと、治療を継続できず、治療の選択肢が狭まるからだ。
具体的には、抗がん剤投与のスケジュール(レジメン)、院内での点滴内容、検査値情報などが必要とされる。だが、道半ばだ。医薬品医療機器総合機構(PMDA)が全国4903病院から得た調査結果によると、レジメンの情報をお薬手帳に記す病院は6・8%、電子カルテなどで共有する病院は4・0%、情報連絡書で行う病院は3・9%にとどまる(複数回答)。