体内で活性酸素が過剰に発生し、酸化度が高まると、血管内で悪玉のLDLコレステロールと結びつき、血管壁を傷つけ動脈硬化を促進する。今回の研究は、内臓脂肪の蓄積により活性酸素の除去能力が低下することを具体的に証明したものといえる。
機器進歩で証明
酸化ストレスと内臓脂肪との関係はこれまでも指摘されていたが、「活性酸素の測定が難しかったこともあり、分かりやすく証明できたのは最近のこと」(山門学部長)。指先からのわずかな採血で、活性酸素の代謝産物から酸化度を測定する機器がイタリアで開発され、日本ではウイスマー(文京区)が輸入・販売。現在、国内の約1千施設で導入されているという。三井記念病院でも人間ドックのオプションとして、この装置を使った酸化度の検査を行っている。
動脈硬化は自覚症状がないため、頸(けい)動脈エコーなどでチェックする必要がある。山門学部長は「酸化度の検査を定期的に行うことで、血管で形態的な変化が起こる以前の超早期での診断や予防につなげられるのではないか」と語る。