同法は、福島事故対策を進めつつ、将来の事故に備えて原発を持つ各社が連帯して賠償資金を拠出するというもの。東電の清水正孝社長(当時)が事故を受けて電気事業連合会会長を退き、後任に就いたばかりの関電の八木誠社長にとって、受け入れ表明は大きな決断だった。
業界の拠出額は2011~14年度で計5954億円に上る。このうち東電は最も多い2687億円を、次いで関電が971億円をそれぞれ拠出している。
提携と敵対と
一応、賠償負担の整理がついた東電は業績も回復。今後の賠償を円滑に進めるためにも成長は不可欠との立場で、電力システム改革の波に乗って早急に足場固めをする構えをみせる。
象徴的なのは中部電力との火力部門での提携で、合弁のエネルギー会社、JERAを設立している。発送電分離もにらみ、火力発電部門の競争力を高めるのが狙いで、液化天然ガス(LNG)の購入もまとめて価格交渉力を高める。LNGの転売でもうけることも視野に入れるという。