関西電力は11月から、電気を送る送配電網を銅製からアルミ製に切り替えている。アルミ電線は調達コストを2~3割カットでき、軽量で交換や保守の作業もしやすいためで、管内の電線を30年程度かけて交換していく。導電性の問題から銅と比べ太くなってしまうため風に揺れやすい難点があったが、表面に凸凹をつけて風の抵抗を弱めるゴルフボールの原理を応用することで克服した。原子力発電所の長期停止で懐事情が厳しい関電は、老朽設備の更新も可能な限りの節約を徹底する。(藤谷茂樹)
ゴルフボールの原理
関電が導入したアルミ電線は古河電気工業と共同開発した。電線を覆う樹脂にいくつも縦に溝を入れており、断面でみると歯車状に凸凹ができる。これで風圧を弱めて揺れにくくしたのが特徴だ。電力流通事業本部の笹岡毅志マネジャーは「細かい凹凸を付いているゴルフボールの原理と同じだ」と説明する。
ゴルフボールは、ディンプルと呼ばれる小さなくぼみで覆われていることで空気抵抗を弱め、飛距離を伸ばしている。この原理を電線に応用し、細かな溝をつけることで風を受けたときの力を弱めることに成功した。溝の数や深さなどは特許事項で、詳細は明かせないという。