4月からの小売り全面自由化で大競争時代に突入する国内電力市場。大手電力と新規参入の「新電力」が入り乱れる勢力争いの中で、注目されるのが電力首位の東京電力と3位の中部電力の火力提携の行方だ。両社が昨年春に踏み出した火力発電事業の共同化は、販売を含めた統合に発展するとの見方がある。実現すれば、強力な事業基盤を持つ新時代の“メガ電力”が誕生することになり、新電力を含めた電力再編の呼び水になる可能性がある。
価格競争力に脅威
昨年春から始まった東電と中部電の火力分野の提携は、燃料の調達から発電所の新設・更新までを共同で展開するものだ。まず折半出資で新会社「JERA(ジェラ)」を設立し、火力発電新設についての窓口を一本化した。昨年10月には、両社の燃料輸送部門と外部向けに販売する燃料トレーディング部門をジェラに移管。今年7月には既存の海外発電事業などもジェラに集約する。2017年春には、既設の火力発電事業の統合の是非も判断する方針だ。
火力発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)の両社の年間調達量は計約4000万トンに達し、日本全体の調達量の4割以上を占める。LNGの共同調達による規模拡大を武器に価格交渉力を高め、購買価格を低減できるメリットは大きく、発電コストの大幅な低下が期待できる。