家庭や小規模事業者も電力会社を選べる電力小売り全面自由化を4月に控え、あるサービスが脚光を浴びている。鍵の紛失や窓ガラスの破損など家の困り事に応急対応する「緊急駆けつけサービス」だ。これまでは賃貸住宅、分譲マンションなど住宅業界の付加サービスとして提供されてきたが、大手電力、新規参入組の新電力が、ともに家庭向けの販売促進ツールとして続々と活用しているのだ。電力自由化の競争の波は思わぬ“黒子”の業種にも光を当てている。(藤谷茂樹)
販促ツール
緊急駆けつけサービスは鍵の紛失、窓ガラスの破損、水漏れといった家にまつわる3種類のトラブルが対象。どれも起きてしまうと、時間帯にかかわらずに対応が必要になるため、24時間体制のコールセンターに連絡すると、専門スタッフが応急措置に駆けつける仕組みだ。
サービスを提供する会社幹部が「これまで住宅業界の“黒子”として活動してきた」と話す。そもそも利用者にとってサービスが必要になる緊急時がそれほど多いわけではなく、サービスは賃貸物件の管理会社やマンション販売会社として提供することも多い。あくまで“実動部隊”のこうした業者が表舞台にでることはほとんどなかった。