電力新規参入、成否握る「安さ」 東ガスと昭和シェル 大型投資で自主電源確保 (1/4ページ)

2016.3.1 06:32

東京ガスはガス機器販売店で積極的に家庭用電力サービスの契約を働き掛ける=東京都港区の東京ガスライフバル港

東京ガスはガス機器販売店で積極的に家庭用電力サービスの契約を働き掛ける=東京都港区の東京ガスライフバル港【拡大】

【変わる 電力小売り】(上)

 2月18日、横浜市の工業地帯にあるガス火力発電所「扇島パワーステーション」で、東京ガスの広瀬道明社長と昭和シェル石油の亀岡剛社長は固い握手を交わした。両社出資の同火力は新設した3号機を稼働し、出力を50%拡大。1~3号機の合計は原発1基分を上回る122万キロワットだ。

 条件満たせば誰でも

 「4月の小売り自由化前に、自主電源を増やせたのは大きい」

 東ガスの石井敏康執行役員は、出力増強の狙いをこう打ち明ける。

 大手電力が独占してきた家庭用電力販売だが、小売り自由化により、条件を満たせば誰でも電力販売に参入できる。事業の成否を分けるのは、いかに安く電気を調達できるかだ。

 だが、東ガスや昭和シェルのように、巨費を投じて発電所を建設し、自主電源を確保した上で小売りに参入する企業はそう多くない。小売りに参入する企業は通信や鉄道、流通など約200社に上るが、実際に自前の電源を持つのは「10~20社」(経済産業省幹部)にとどまる。残る企業の多くは、既存の電力会社など外部からの調達に頼るのが実態だ。

「財務状態を最大限、丁寧に調べたつもりだが、不十分だった」

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