【宮脇】ありがたいことに、それによって、生産ラインの改善に取り組む時間ができました。普段なら、しようと思っても、全員で一斉に協議・相談するような機会はなかなかつくれません。「半日ラインが止まっています」というときを、逆に活用しました。
--それは“禍を転じて福となす”的な発想ですね。
【宮脇】そうです。その機会を利用して、経験豊富な者が経験の浅い人たち1人ひとりに、じっくり時間をかけて現場の工程や作業を教え込む、という取り組みも始めました。
【小川】今ではそれがいわば“教育道場”として私どもの日常にしっかり根付きました。いくら忙しくなっても、この活動は絶対にやめません。
--そうなると、生産の手法や設備の見直しにも一層力が入ったのではありませんか。スカイアクティブ技術の開発を睨みながらの作業となったのでしょうか?
【宮脇】実は、2006年あたりから、現在のフレキシブル生産の前身のような生産ラインを引き始めていました。将来を見越して、排気量に関係なくつくれるラインを構築できていたので、スカイアクティブ・エンジンを受け入れる用意は事前に整っていったと言えます。