ジョブズ氏のプレゼンテーションも、そのように紹介しており、当時はアイポッドの延長線上の商品という印象を与えた。だが、実際のアイフォーンは、電話の在り方そのもの、いや、生活シーンを変革する商品だった。タッチパネル式のユーザーインターフェースは「小さな子供でも自然に使えてしまう」(国内の携帯大手幹部)というほど、人間の感覚を踏まえており、世界に大きな衝撃を与えた。
さらに、アイポッドのデジタルオーディオプレーヤー機能に加え、通話やインターネット、メール、カメラ機能も同時に持ち合わせ、まさに「多機能携帯電話」といえるものだった。
翌年の08年7月に、アップルは新モデル「3G」を発売した。初代は北米だけの取り扱いだったが、日本など22地域でも発売された。当時のアップルは、「1国1キャリア」制度を採用しており、日本では、ソフトバンクが独占販売した。
日本での発売日も、全国の販売店で長蛇の列ができた。評判の良さが口コミでも広がり、爆発的な人気商品となった。そのおかげで国内万年3位のキャリアだったソフトバンクはその後、大きく躍進することになった。