背景には、「今動かなければ、サントリーが世界を代表する酒類メーカーに飛躍する機会を失ってしまう」(業界関係者)との危機感がある。
ディアジオやペルノ・リカールなど少数の大企業がしのぎを削る蒸留酒業界。有力ブランドを擁するビーム社には、ディアジオなども関心を示していたとされる。4年前、キリンホールディングスとの経営統合が破談となった後、大型買収を重ねてきたサントリーに、ここで動かないという選択肢はなかった。
ウイスキーが創業事業のサントリーは昨年、ウイスキーづくり90周年を迎え、45年ぶりに山崎蒸留所(大阪府島本町)に蒸留釜4基を増設、本格的な増産体制に入った。100周年の10年後には、原酒の生産能力は4割増となる。ねらうのは、サントリーの日本産ウイスキーが世界を牽引(けんいん)する未来だ。