「月350時間」想像以上だった“ブラック度” 元居酒屋店長の告白 (1/5ページ)

2013.12.28 18:04

「店の売り上げを伸ばすためにあらゆる手を尽くしたが、どうにもならなかった」と語る元店長の田牧氏(左)。アルバイト店員と「地獄の日々」を振り返る=都内

「店の売り上げを伸ばすためにあらゆる手を尽くしたが、どうにもならなかった」と語る元店長の田牧氏(左)。アルバイト店員と「地獄の日々」を振り返る=都内【拡大】

 「もう、限界だ」-。就職戦線に遅れを取った田牧幸一郎(24)=仮名=は首都圏の大学を卒業後、バイト先の縁で居酒屋の店長になった。しかし、わずか半年で音をあげた。生きる気力を失い、仕事へのモチベーションは限りなくゼロに近かった。「居酒屋という業態が(過酷な労働を強いる)ブラックという噂は聞いていたが、実態は想像以上」。まる1カ月間、休みなし。月350時間という異常な労働時間が引き金となって「店長」の肩書きと決別した。

 開店1カ月の「悪夢」

 都心から電車で40分。高度経済成長期に開発が進んだ人口約10万人のベッドタウンに店はあった。駅前周辺には昔ながらの飲み屋やスナックが多く、「地域密着」の土地柄が感じられた。

 大阪に本店を置く居酒屋チェーンがオープンしたのは5月のこと。常連客でにぎわう繁華街の地域性とは裏腹に、客の反応はよかった。「開店から3日間は串揚げに使うクシが足りなくなるほど、まともな営業ができなかった。深夜1時の閉店まで満席状態。サラリーマンだけでなく家族連れも多く、大阪の食いもんが関東で受け入れられた」。田牧は店長としてやりがいを感じた。

客足が遠のくほど、残業はキツく感じられた

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