言葉だけが踊っていた感のあった「ブラック企業」の実態把握と取り締まりに、厚生労働省が本腰を入れ始めた。「若者の使い捨てを野放しにしているようでは日本の国の将来はない。きっちりと対応していきたい」。8月、田村憲久厚労相は閣議後の会見でこう明言し、長時間労働などで若者を使い捨てにするいわゆるブラック企業に対し厳しい姿勢で臨む方針を示した。国が“本気”になった背景には、ブラック企業が社会問題化し、若者を中心に不安が増大している現状がある。
ブラック企業の実態把握のため、9月1日に1日限定で設けた電話相談はコールが鳴り止まなかった。厚労省は9月、離職率が極めて高いなどブラック企業が疑われる企業約4千社へ立ち入り調査を行うことを決定。こうした企業への指導監督を実施し、悪質な違反が確認されれば立件して会社名を公表するなど、取り組みを加速させている。
100時間残業・手当なし、追い出し部屋も
「月に100時間以上の残業をしているし、休日も出勤しているのに手当てがでない」
「仕事上のノルマをこなせなかったら、小部屋に呼び出され2時間、説教を受けた」
「深夜3時まで働いても年休取得を認めてもらえず、売り上げが悪いとたたかれる」