一般的にブラック企業とは、若者を大量に採用し、長時間、過重な労働をさせた末、退職に追い込む企業のことを指す。だが、採用や退職者数が多いという数字だけでは分からないのも実情だ。
特にパワハラは、労働基準法に明確な規定はなく、受け手の認識などにもよるため、判断するのが難しい場合もある。そもそも明らかな法令違反の疑いがない限り、厚労省が企業に踏み込むのは難しい。
「労基法違反などには指導、監督する権限があるが、パワハラの問題になれば、実効性のある窓口を紹介するという対応になる」(担当者)という。
若者の労働相談に乗るNPO法人「POSSE(ポッセ)」の今野晴貴代表はこうした点を踏まえ、外部の専門家らとの連携の重要性を訴える。
今野代表は「厚労省がブラック企業への対策を『若者の使い捨て』と『長時間労働』という2つにしぼって対策を強化しているのは非常に評価できる」と指摘。「パワハラや解雇の問題は労働基準監督署の管轄外。結局、取り締まりができないし、限界がある。そのため、弁護士や民間支援団体などとしっかり連携することが大切ではないか」と主張している。