日本酒に消費回復の好機が訪れている。昨年12月、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に「和食」が登録、国内の各自治体では「乾杯条例」の制定が相次ぐなど、消費には追い風が吹く。
日本政府は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の合意に向け「攻める農業」を展開する方針で、輸出拡大も見込める状況だ。各方面で広がるチャンスを“日本酒ブーム到来”にまでつなげることはできるだろうか。
和食登録歓迎も…現実は
「大変喜ばしい。日本酒の普及に努め、和食文化の拡大に寄与したい」
昨年12月。「和食」の世界遺産登録を、清酒「松竹梅」などを販売する宝酒造(京都市)の柿本敏男社長はこう歓迎した。「和食にあう」日本酒にとり、消費回復に追い風になるからだ。
統計をひもとくと、日本酒の国内消費は厳しい。国税庁によると、清酒の国内販売数量は、昭和50年度の167万5千キロリットルをピークに減少傾向が続く。