サントリー酒類は3日、「ザ・プレミアム・モルツ」の戦略発表会を開き、香り高くフルーティーなエールタイプの期間限定品「香るプレミアム」を5月に発売すると発表した。消費税率引き上げ後は「少し高くても良い品を」という“メリハリ消費”が強まると予測し、特徴的な派生品で顧客層を広げる戦略だ。高級ビールで先行する同社だが、アサヒビールとキリンビールも本格参入し、競争は激しさを増しそうだ。
「ザ・プレミアム・モルツを飲んでいなかった人に試してほしい」
サントリーの水谷徹常務は会見で、通常のラガータイプと異なり、上面発酵で飲みやすいエールタイプの限定商品をこうアピールした。
景気の回復などから高級ビールの市場規模は昨年、全体の13%強まで伸びた。今年は業界首位のアサヒが「ドライプレミアム」の通年販売に乗り出すほか、2位のキリンも中元商戦から「一番搾りプレミアム」を投入するなど、ビール市場の激戦区となっている。
また、サッポロビールも4月の消費税率引き上げ後に、より高級な新商品を出しての差別化を図る方針だ。販促費も前年比40%増やし、「エビス」のブランド力向上を目指す計画だ。
競合他社が相次いで高級ビールの強化を表明したことで「(高級ビール)市場の10%成長もありうる」(水谷常務)とサントリーは期待を寄せる。同社はキャンペーンなどで顧客層を広げ、販売増を目指す。
高級ビールは通常のビールに比べ1~2割高く、利幅も大きい。割安で消費量の多い「第3のビール」とともに、各社は高価格帯と低価格帯の両面で顧客ニーズを取り込む狙いだ。ただ同じ分野で各社が競合するため、商品の差異化が進まなければ、価格競争に陥る懸念もある。