かつての大口受注先だった中国政府が自国の造船企業救済を目的に中国企業に受注を集中させていることも影響している。
松田氏は「今後も海運需要の持ち直しが限定的と見込まれ、造船業も早期の回復は期待できない」と言い切る。
政府系にも不透明感
韓国企業の営業利益の大幅な悪化を受け、それを返済原資とする支払い能力も低下している。企業の利払い返済能力はリーマン・ショック以降、海運・造船の2業種で全産業平均を大きく下回る。
特に造船業全体ではリーマン・ショックが発生した08年以降、一貫して低下傾向が続き、13年には営業利益で支払利息を賄えない水準まで落ち込んだ。海運業でも11年以降、そうした水準が続く。
「収益環境が一段と悪化し、利払いや返済は一段と厳しさを増している」と松田氏。
企業の債務返済能力の低下は、銀行などの金融機関にも直接的な影響を及ぼしている。