両社の合計処理能力は日量約40万バレルで国内の約1割に相当し、原油から石油製品を取り出す中核設備は計3基ある。「2基を持つコスモが1基減らすプランが有力」(関係者)とされ、16年度までに処理能力を2割程度減らす方向とみられる。
コスモの14年3月期の石油事業の経常損益は414億円の赤字。東燃は13年12月期の石油事業の営業利益はわずか17億円だった。製油所統合で年間100億円以上の効果を見込む。川崎市や三重県四日市市、堺市など両社の製油所が集積する地域でも連携の余地があるとみられる。
“官主導”に警戒も
エネルギー業界では、旧通産省が官主導で産業再編を進めた時代のようだという声も上がる。石油連盟の木村康会長(JX日鉱日石エネルギー会長)は「事業再編は企業が自らの判断で行うものだ」と強調。元売り幹部は「業界再編まで求めてくるのではないか」と警戒する。
経産省幹部は「やらされた再編では真に競争力を高めることはできない。各社の判断次第だ」と業界側にボールを投げる。製油所再編が業界再編につながるかは、元売り各社が描く将来ビジョンにかかってくる。(宇野貴文、三塚聖平)