賃上げが限定的であることも、消費者物価上昇の頭打ちの要因となる。日銀は「生産、所得、支出」の好循環がデフレ脱却につながると考えているが、給与は伸び悩む。13年10月の毎月勤労統計では、基本給に相当する所定内給与が、前年同月比0.4%減と17カ月連続で減少。11月も横ばいだった。賃金が上昇しなければ物価上昇にも限界があり、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は「春闘でのベア(ベースアップ)の動きを注視したい」と期待感を示す。
だが、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「ベースアップは大企業の一部にとどまり、中小への波及は限定される。大企業の多くも一時金で従業員に還元する」としており、賃上げの浸透に懐疑的だ。
注目されるのは、日銀の追加の金融緩和だ。黒田総裁は「リスク要因に変化が出れば必要な調整を行う」とし、追加の金融緩和も辞さない構えだ。