【国際政治経済学入門】
昨年12月16日、「大胆な金融緩和」を掲げた自民党の安倍晋三総裁が衆院選で圧勝し、「アベノミクス」を打ち出した。その「第1の矢」である、継続的に大量におカネを増発する日銀の量的緩和政策にマーケットは大きく反応し、多少の波乱はあっても円安・株高基調が続いてきた。これで雇用が増え、賃金も上がるならめでたし、めでたし。なんのことはない、景気をよくするためにはお札をじゃんじゃん刷ればよい、ということになるが、そんなにうまくことは運ばない。
「15年デフレ」漬け
量的緩和は、2008年9月のリーマン・ショック後、米連邦準備制度理事会(FRB)を筆頭に米欧が実施してきた。日銀は安倍政権になって背中を強く押されてやっと追随した。
中央銀行は金融機関から国債などの金融資産を買い上げる。金融機関はそのカネで株式を買えば、株価が上がる。
銀行から融資を受ける消費者は住宅や車を買う。企業は株式市場から資金調達しやすくなり、設備投資を増やす。需要がこうして増える。