他方、発行量が多い通貨の値打ちは、量の少ない通貨よりも落ちるので、通貨安となる。すると輸出が有利になる。通貨レートが安くなれば、物価が上がる。デフレはこうして止まるし、景気もよくなるはずだ、というシナリオだ。その通りコトが運ぶか。
米国の場合、量的緩和効果で少なくても、1930年代のような「大恐慌」は避けられた。景気のほうは遅々としながらも、次第に上向いている。
だが、日本は米国とは金融構造が大きく異なるうえに、「15年デフレ」にどっぷり漬かってきた消費者も企業も行動を変える気になるまでは時間がかかる。
今年6月末現在、日本の家計金融資産の54%は現預金で、株式など証券資産は14%に過ぎない。米国とは真逆で株高による資産増効果は小さい。