【国際政治経済学入門】
中央銀行が資金を大量発行して、銀行に流し込む量的緩和政策で景気がどこまでよくなるのだろうか。
日銀は2001年初めから5年間、量的緩和政策を続けたが、白川方明(まさあき)前総裁(08年4月~13年3月)は実体景気への効き目は薄いとして、小出しの緩和に徹し、デフレは進行しっぱなしだった。白川路線を否定する黒田東彦(はるひこ)総裁は就任すると、「異次元緩和」と銘打った量的緩和に踏み切った。
黒田緩和のモデルとなっているのは、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が08年9月のリーマン・ショックから現在まで3度にわたって実施してきた量的緩和政策である。FRBはことし9月までの5年間でドル資金の供給残高(マネタリーベース、MB)を3.8倍に膨らませてきた。黒田総裁もMBを2年間で2倍に増やす方針だ。