銀行は貸し出しリスクを考えるし、企業は新規事業や事業拡大で稼げる見通しがないと、借金をためらう。消費者も収入が増えないことには、ローン付きでの新車の購入には慎重になる。銀行も企業も消費者も、デフレや不況が続く中では、新規の融資または借り入れを控えるのだ。
増えたカネが実際に融資に回っているかどうかをみるうえで、一番分かりやすい指標が「銀行の預貸率」である。預金に対してどのくらいの割合で貸し出されているかを示す。それとMBの推移を日米それぞれに追ったのが2つのグラフである。一目瞭然、日米とも、見事に同じトレンドを示している。いくらお札を刷っても預貸率は日米とも下落の一途。MBが増えても融資には結びつかない。
日米で真逆の構造
それでも米国の場合、少なくてもデフレには陥らずに済んでいるし、景気もかなりゆっくりではあるが回復基調をたどっている。その秘密は米国の金融構造にある。米国の国内総生産(GDP)に対する銀行融資残高の割合はことし9月末で43%に過ぎない。それに対し、日本は88%に上る。証券市場からの資金調達による「直接金融」主体の米国と銀行融資による「間接金融」中心の日本の違いだ。