住宅や自動車、家電など耐久消費財の需要は消費増税前の駆け込み需要から一転して大きく落ち込む恐れがある。12月16日に発表された日銀の短期経済観測では大企業が設備投資計画を減額修正している。財務省の法人企業統計でも大企業の設備投資は前年水準を下回る。
消費増税後の景気落ち込みをカバーする決め手は、もっぱら「金融の追加緩和」だと、マーケット関係者が催促する。黒田東彦(はるひこ)日銀総裁も「景気が不安になっても金融で対処できる」と消費増税を後押しした。
消費増税によるデフレ効果を懸念してきた安倍首相周辺でも「黒田さんはやってくれるでしょうね」(内閣参与の浜田宏一エール大学教授)と期待が大きい。
金融緩和は確かに、円安・株高をもたらしたが、アベノミクス1年をみると、それだけでは、実体経済を浮揚させるのに不十分なように見える。追加金融緩和にばかり頼らず、安倍政権はアベノミクス第2の矢の財政出動、第3の矢の成長戦略でかなり大胆な手を打つべきではないか。(産経新聞特別記者・編集委員 田村秀男/SANKEI EXPRESS)