日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は20日、今年最後となった金融政策決定会合後の記者会見で、「経済は想定した線に沿って着実に回復している」と述べ、約8カ月間の「異次元」金融緩和策の効果に自信を示した。米連邦準備制度理事会(FRB)は18日、一足先に緩和策の縮小にかじを切った。日本経済は順調にデフレ脱却の道をたどっているが、日銀の2%の物価上昇目標達成には、来春の消費税増税などのハードルが待ち構える。
日銀は4月に導入した金融緩和策で、2年で2%の物価上昇目標を掲げた。今年度の中間目標を0.7%としたが、会見で黒田総裁は「年内には1%を少し上回る可能性が高い」との見方を示した。内閣府も24日公表する12月の月例経済報告で、「デフレ」の表現を削る方針だ。
FRBによる量的緩和の縮小も、日銀の目標達成を後押しする可能性がある。緩和縮小による米金利の上昇を見込んだ投資家が、ドル買い・円売りを進めて円安を誘発。20日の円相場は1ドル=104円台と5年2カ月ぶりの水準だった。
円安は輸入物価を押し上げ、国内の物価水準を引き上げる。その上、量的緩和縮小は米国経済の回復ぶりを示すだけに、黒田総裁も「世界経済全体にとって望ましい」と歓迎した。