「フォアグラカナールのロティ」はフランス産の鴨のフォアグラを使った一皿で食欲をそそる香りが漂う。白ワインビネガーで煮詰めた煮汁にフォンドボー(子牛肉のだし汁)を加えたソースは濃厚で、主役のフォアグラは京野菜の鹿ヶ谷カボチャに載せられている。その周囲には酸味のあるレーズンがあしらわれ、甘酸っぱい味覚が舌に心地よい。
一見スープに見えない「ホワイトコーンとウニのスープ」も絶品だ。白いムース(泡状)は白トウモロコシの芯と昆布で取った出汁に炒めたトウモロコシを加えてミキサーにかけ、その後にガスを充填したという手のかけよう。口に含むとふんわりとした食感で一瞬にして溶けてしまうが、トウモロコシの風味が広がる。京赤地鶏のガラとミンチ肉でつくったコンソメのジュレには「相性のいい雲丹を添えた」という。「食べるスープをつくりたい」と話す小松総料理長の自信作だ。
コースの魚料理は「丹後グジの蒸し焼き」。グジとは甘鯛のことで、伊勢エビやオマール海老など甲殻類を使ったコンソメソースの中で蒸し焼きにした。ソースはパンで拭き取って全て食べ尽くしたくなるほどだ。脇役に添えられたシメジの柔らかさ、散らされた玄米のパリパリ感は食感にアクセントがつくように工夫されている。