与野党が折り合わず、迷走していた参院の「一票の格差」是正に向けた選挙制度改革は、合区などで選挙区定数を「10増10減」する改正公職選挙法が先月28日に成立し、来夏の参院選から適用されることで一応の決着を見た。維新の党など野党4党とまとめた改革案が盛り込まれた改正公選法が成立したことで、自民党は“無責任”のそしりをなんとか免れたと考えている。これを受け、安倍晋三首相は来夏の参院選で与党などで3分の2を確保し、悲願の憲法改正につなげたい考えだが、道のりは険しい。
公明案回避で「分裂」
参院の選挙制度改革は、都道府県単位の選挙区制度を維持したい自民党が、合区導入で格差是正を目指す他党と折り合わず難航した。こうした状況に連立政権を組む公明党が業を煮やし、20隣接選挙区を10合区に統合し、選挙区定数を「12増12減」して、格差を2倍以内に抑える公選法改正案を民主党などとともに参院に提出。自民党が、連立政権を組む公明党とたもとを分かっても、維新の党などが提案した4選挙区の2合区を含む10増10減で格差を約3倍にする案に乗ったのは、前回2013年の参院選を「違憲状態」とした最高裁の圧力に抗しきれなかったというよりも、公明党などの大胆な合区を回避するための次善の策だったからだ。