まず、山下さんが永徳の絶筆的作品「檜図(ひのきず)」を見ながら「枝ぶりがぐちゃぐちゃ。この破滅的な勢いを覚えておくと、今回の作品に似たような枝ぶりが出てくるのに気付く」と指摘。山本さんは「モチーフをものすごく大きく描く『大画(たいが)』様式を取っていた」と永徳の画風を解説した。
次に、秀吉に見いだされて永徳に入門、永徳亡き後「京狩野」の祖となった山楽の「唐獅子」については山下さんは「永徳の唐獅子と比べると非常に頭が小さい。新君くらいのバランスだよね」と笑いを誘った。
井浦さんは「山楽は好きです。絵もそうなのですが、長谷川派にグッと押されても裏方で支えて『仁義の人』という印象がある」と熱く語った。
また、永徳という大黒柱を失ったこの時期、「狩野派は豊臣、徳川、朝廷に一門の絵師をそれぞれ派遣する『三面作戦』で生き残りを図った」と山本さんが解説した。