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【日本遊行-美の逍遥】其の十四(加計呂麻島・鹿児島県) 神々と自然に生かされて (1/4ページ)

2014.11.6 10:40

島でよく見かけるアダンの実。パイナップルのような外見と香りを漂わせる=2014年5月24日、鹿児島県大島郡瀬戸内町・加計呂麻島(井浦新さん撮影)

島でよく見かけるアダンの実。パイナップルのような外見と香りを漂わせる=2014年5月24日、鹿児島県大島郡瀬戸内町・加計呂麻島(井浦新さん撮影)【拡大】

  • 江仁屋離島の夕陽。あまりの美しさに溜息が漏れた=2014年5月24日、鹿児島県大島郡瀬戸内町・加計呂麻島(井浦新さん撮影)
  • 遠くから見るとたてがみをなびかせるライオンの横顔に見えることから「ライオン岩」と呼ばれる奇岩。徳浜(とくはま)集落にあり、とてつもなく巨大で、自然の造形美に魅せられる=2013年5月20日、鹿児島県大島郡瀬戸内町の加計呂麻島(井浦新さん撮影)
  • インド原産のマメ科の落葉高木であるデイゴ。5~6月には真紅の花を咲かせる。加計呂麻島(かけろまじま)では諸鈍集落のデイゴ並木が有名だが、木々が自然に形づくった祠を見かけた=2013年5月26日、鹿児島県大島郡瀬戸内町・加計呂麻島(井浦新さん撮影)
  • 徳浜集落でつくられるさんご塩。結晶が大きく、旨みが強い。登り窯で海水を炊いたあと、さんごに漬けると、余分な辛味がとれて、うまみのあるまろやかで大粒の塩になる=2013年5月20日、鹿児島県大島郡瀬戸内町・加計呂麻島(井浦新さん撮影)
  • 鹿児島県大島郡瀬戸内町・加計呂麻島(かけろまじま)
  • 俳優・クリエイター、井浦新(いうら・あらた)さん(本人提供)

 昨年、奄美大島の南に位置する加計呂麻島(かけろまじま)にドラマの撮影で長期滞在した。1日あれば車で1周できる小さな島。海側の入り江のあちこちに30近い集落が点在する。この島の宝は、何といっても美しい自然だ。ライオン岩、青の洞窟など、目の覚めるような風景に心が洗われる。

 とはいえ奄美地方は台風の常襲地域だ。家々は平屋が基本で、修繕しやすいトタン葺き。奄美大島と加計呂麻島を橋で結ぶ構想もあるが、台風被害を考えるとなかなか実現にこぎつけない。島内には大きな商店がなく、島に住む人たちはフェリーに乗って約20分の奄美大島へ買い物に出かける。台風が近づくとフェリーは欠航、ライフラインが途絶える。

 古くは琉球王朝、薩摩藩の過酷な搾取を受け、サトウキビのみの生産を強制され、人々は山中に田畑を開いて命をつないだそうだ。ノロが神事の前に身体を清めたといわれる嘉入(かにゅう)の滝の上には、今でも隠し田んぼの跡が残されている。

 加計呂麻島は奄美の隠れ場的存在であり、鹿児島でも沖縄でもない、独自の生態系と文化が育まれてきた。天然記念物、生物の固有種の宝庫であり、どの海岸に立っても、朝日と夕日の風景に魅せられる。一日のなかで、とりわけこうした時間を大切にしている僕にとって、加計呂麻島での滞在中は至福のひとときだった。

平家と源氏の痕跡 800年の時を超え

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