古くから人間は、太陽の軌道が変化するにつれ、季節の移り変わりを感じ、春分、夏至、秋分、冬至などの節目としての意味づけを行ってきた。そして暦を刻み、太陽の動きに地理的な場所をつなげることで、いまここにいる自らの位置を確認し、大自然との一体感を見いだしてきたように思える。
例えば、伊勢神宮の近くにある二見浦の夫婦岩は、夏至近くになると2つの岩のあいだに富士山のシルエットを映し出しながら太陽が昇り、劇的な光景が展開される。
このような神秘的な風景と、全国の神事や信仰とのつながりには想像力をかき立てられる。一年のうちでも、とりわけ夏至と冬至は、このようなダイナミックな天体ショーが各地で繰り広げられる特別な日だ。僕はいつの頃からか、この両日には、太陽がどこから昇り、どこに沈むのかを、意識して過ごすようになった。
以前、仕事で奄美大島に長期滞在したとき、ノロ(祝女)の方に初めてお会いする機会に恵まれた。彼女の言葉に導かれるように、ノロの源流を求めて、昨年の夏至の日、ヤハラヅカサ(沖縄県南城市(なんじょうし))という聖地に赴いた。古代琉球の祖「アマミキヨ」がニライカナイ(海のはるか彼方にある神々の住む理想郷)から渡来し、久高島(くだかじま、南城市)に次いで沖縄本島に初めて上陸したという場所だ。