7世紀の飛鳥時代に開かれ、9世紀に唐から帰国した留学僧の円珍(えんちん)によって再興された三井寺。源平の合戦、戦国時代と、幾度となく焼き討ちされたにもかかわらずその度に再建され、「不死鳥の寺」とまで呼ばれた寺である。
国宝10件(64点)、重要文化財42件(720点)を所蔵し、文化財の数は全国でも屈指。今年は宗祖智証(ちしょう)大師円珍の生誕1200年祭にあたり、1年かけて秘仏のご開帳や収蔵庫の建設など、特別な催物が開かれる。僕も縁あって、春は国宝・光浄院(こうじょういん)の空間演出、秋は三井寺を撮影した写真展の開催を予定している。
三井寺との出会いは、円空(えんくう)仏があるということで、数年前にふらっと立ち寄ったのがきっかけだった。山肌に三井寺、その下に見守られるかのように琵琶湖が広がり、スケールの大きさに圧倒されたのを覚えている。数々の歴史上の重要人物を受け入れてきた重厚な山門、国宝の金堂へ続く参道も美しい。1000年以上にわたり多くの人を惹きつけてきたのは、何事も寛大に受け入れてきた懐の広さゆえか。