山鹿(やまが)という場所は、時間の蓄積が濃厚な場所だ。興味に導かれるままに歩けば、風情ある温泉宿場町、チブサン古墳などの装飾古墳群、不動岩などの巨石、灯籠や番傘づくりを含め、1500年以上の文化が層として積み重なっているのを感じる。
文化が積層する場所に足を運びたいという欲求は、僕の旅の基本的な動機であり、以前からチブサン古墳は記憶にインプットされ、行きたい所の上位に位置づけられていた。
こんなにもユニークな感覚をもった人々がかつて日本に暮らしていたという衝撃は、僕の創造力を刺激してくれる。チブサン古墳に限らず、山鹿の魅力の一つとして、横穴群や古墳群が密集していることが挙げられよう。岩地蔵や磨崖仏(まがいぶつ)、種々の塔なども大地を覆うように点在しており、本来ならば車で全てまわりたいところだが、まずは自然巨石の一つである不動岩に連れていっていただいた。