本島から橋でつながれた浜比嘉島に入る。車を降りて武安さんの後ろ姿を追いながら、引き潮の岩場を渡った。
浜比嘉島には、「アマジン」と呼ばれる最も神聖な場所で、アマミキヨの眠る墓もある。同じ島の南端にあるシルミチュー霊場は、108段もの石段を登り切ったところにあった。月明かりに照らされたその地は、神聖かつ穏やかな力に満ちていた。
「シルミチュー」とは、アマミキヨとともに琉球開闢(かいびゃく)神話に登場する男性の神の名で、アマミキヨと一緒に子供をもうけ、その後、彼らの子孫としての人間が増えていったという。現在でも居住跡には、比嘉のノロが中心となって行う年頭拝みの伝統が残っており、子宝の霊場としての信仰を集めているそうだ。