今年は「琳派400年記念」であることを意識して風神(緑)・雷神(白)をイメージした左右色違いのトレッキングシューズで登場し、ファッションにも美術的要素を取り入れるなどこだわりを見せた。
座談会では、狩野派史上最大のピンチとなった慶長年間前後に着目。大画(たいが)様式を確立し、狩野派の地位を不動のものとした偉大なカリスマ、永徳の没後、それまでの「豪壮」から「華麗」へ、さらに新たな為政者・徳川家に対応すべく、「瀟洒(しょうしゃ)淡麗」へと画風を変えていく一大転換の過程を、永徳の後継者たちの作品を実際に見ながら解説した。
≪優しいまなざし 魅力あふれる絵師≫
今回の特別展は永徳と探幽という二大巨頭にはさまれた世代のあまりなじみのない光信、孝信、内膳らを取り上げている。展示の全体の印象について井浦さんは「絶大な権力を持った絵師集団、狩野派には昔、一種の抵抗感があった。(長谷川等伯など)抵抗勢力の方にシンパシーを感じていた」と切り出した。「今回見て、2人以外の狩野派の流れがよく見えてきた。こんな絵を描いた本人たちはどんな人物だったのかと思わせる作品ばかり。孝信と内膳が強烈に印象に残った」と述べた。