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京博「桃山時代の狩野派」座談会 ピンチの慶長年間 勝手に応援 (2/5ページ)

2015.4.23 17:15

桃山時代の狩野派(かのうは)について熱く語る井浦新(いうら・あらた)さん(中央)と山下裕二・明治学院大教授(左)、山本英男・京都国立博物館上席研究員。映し出されているのは狩野山楽筆の「唐獅子図屏風(京都・本法寺)」を部分拡大したもの=2015年4月11日、京都市東山区の京都国立博物館(田中幸美撮影)

桃山時代の狩野派(かのうは)について熱く語る井浦新(いうら・あらた)さん(中央)と山下裕二・明治学院大教授(左)、山本英男・京都国立博物館上席研究員。映し出されているのは狩野山楽筆の「唐獅子図屏風(京都・本法寺)」を部分拡大したもの=2015年4月11日、京都市東山区の京都国立博物館(田中幸美撮影)【拡大】

  • 琳派400年記念を意識して風神・雷神をイメージした色合いのトレッキングシューズで登場した井浦新(いうら・あらた)さん=2015年4月11日、京都市東山区の京都国立博物館(田中幸美撮影)
  • 重要文化財「豊国祭礼図屏風」左隻_狩野内膳筆(京都・豊国神社)。秀吉の七回忌の臨時大祭の様子を描いている。南蛮人に扮したりコスプレをしている人がたくさんいるが、中央下の右寄りにタケノコのかぶり物をした人も見られる(提供写真)
  • 芒燕図屏風(右隻)狩野孝信筆(愛知・徳川美術館)井浦新(いうら・あらた)さんが持ち帰りたいと話した孝信の作品。「ここに描かれた草は、散歩中の犬がうれしそうにむしゃむしゃ食べるあの草だろうか。なぜ描いたのだろうか」と話していた=2015年4月11日、京都市東山区の京都国立博物館(田中幸美撮影)
  • 重要文化財「四季花木図襖」狩野光信筆(滋賀・園城寺、提供写真)
  • 「扇面画貼」狩野宗秀筆_これは折れ目がないので、実際使われたものではなくて、注文を受けるための見本のようなものだったかもしれないと山下裕二・明治学院大教授は説明する(提供写真)
  • 重要文化財「豊臣秀吉像」西笑承兌賛_狩野光信筆(愛媛・宇和島伊達文化保存会、提供写真)
  • 特別展開催の直前に発見された狩野探幽筆の「八尾狐図」=2015年4月6日午前、京都市東山区の京都国立博物館(志儀駒貴撮影)

 今年は「琳派400年記念」であることを意識して風神(緑)・雷神(白)をイメージした左右色違いのトレッキングシューズで登場し、ファッションにも美術的要素を取り入れるなどこだわりを見せた。

 座談会では、狩野派史上最大のピンチとなった慶長年間前後に着目。大画(たいが)様式を確立し、狩野派の地位を不動のものとした偉大なカリスマ、永徳の没後、それまでの「豪壮」から「華麗」へ、さらに新たな為政者・徳川家に対応すべく、「瀟洒(しょうしゃ)淡麗」へと画風を変えていく一大転換の過程を、永徳の後継者たちの作品を実際に見ながら解説した。

 ≪優しいまなざし 魅力あふれる絵師≫

 今回の特別展は永徳と探幽という二大巨頭にはさまれた世代のあまりなじみのない光信、孝信、内膳らを取り上げている。展示の全体の印象について井浦さんは「絶大な権力を持った絵師集団、狩野派には昔、一種の抵抗感があった。(長谷川等伯など)抵抗勢力の方にシンパシーを感じていた」と切り出した。「今回見て、2人以外の狩野派の流れがよく見えてきた。こんな絵を描いた本人たちはどんな人物だったのかと思わせる作品ばかり。孝信と内膳が強烈に印象に残った」と述べた。

「モチーフをものすごく大きく描く『大画(たいが)』様式を取っていた」

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