首相は9日の政府・与党連絡会議で、農協改革への決意をこう語った。
自民党関係者によると、首相は党とJA側による水面下の協議にあたり、党幹部に「改革が後退しないように」と電話で指示。特にJA全中の一般社団法人化と、内部組織である監査部門の分離独立だけは「全中が反発しようと絶対譲歩するな」と厳命したという。
JA全中は、農協法に基づき約700の地域農協から集めた「賦課金」年約80億円を元手に政治活動を展開。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉では、国政選挙での“組織力”をちらつかせて自民党議員に反対を迫るなど、首相にとっては「他団体と比べても抵抗の手法が目に余る」(首相周辺)存在だった。
首相の強い意向に、当初は抵抗する構えを崩さなかったJA全中は徐々に屈していった。これに伴い、自民党内の反対論も急速にしぼんでいった。アベノミクスに対する世論の期待感は高く「統一地方選を控えたこの時期に党内抗争するのは外聞が良くない」(党中堅)との判断も働いたようだ。先月20日のPT初会合では懸念の声が大半を占めていたが、今月9日の合同会議ではほとんど異論が出ず、一気に「了承」まで持ち込まれた。