安倍晋三首相は16日、全国農業協同組合中央会(JA全中)の組織改革について「中央会には脇役に徹していただきたい。そうした趣旨の改革を行っていきたい」と述べ、政権の農政改革方針に対決姿勢を強めるJA全中を強く牽制(けんせい)した。中東歴訪出発前に羽田空港で記者団の質問に答えた。
農政改革は政権の成長戦略の柱の一つであり、首相は「このままでは大切な農業が衰退していく。農家のために農協の抜本改革を断行する決意だ」と重ねて強調。その上で「地域の農協を主役とし、農業を成長産業に変えるため全力投球する」と述べ、改革への決意を示した。
菅義偉(すが・よしひで)官房長官も16日の記者会見で「中央会制度は1954年に経営危機に陥った農協組織を再建するために導入された特別な組織だ。しかし状況は大きく変化している」として、改革の必要性を指摘した。
≪佐賀知事選敗北で闘志≫
安倍晋三首相がJA全中を名指しで牽制したのは、先の佐賀県知事選の結果が念頭にある。農政改革をはじめとする岩盤規制の打破はアベノミクス「第3の矢」である成長戦略の要だが、「改革の象徴」として擁立した与党推薦候補は地元農協の政治団体などが推す候補に敗北。改革の骨抜きを図るJA全中側が勢いづく中、首相の闘志にも火が付いたようだ。