安倍晋三首相(60)肝いりの農協改革の実現に向け、自民党内で本格的な議論が始まった。稲田朋美政調会長(55)は全国農業協同組合中央会(JA全中)の指導権・監査権廃止を念頭に、「中央集権的な農業での地方分権を目指す」と意気込むが、農林族議員を中心に党内の反発は強い。昨年9月の内閣改造・党役員人事で首相に「保守派のスターにしたい」と大抜擢(ばってき)された稲田氏に、最初の大きな試練が訪れた。
幹部会議で批判噴出
20日午後、自民党本部で農協改革をテーマに開かれた政調幹部会議。稲田氏は居並ぶ先輩議員らを前に、JA全中の指導権・監査権を廃止し、地域農協の自立性を確保することで農家の所得を向上させるという改革の理念を訴えた。その上で「この改革は決して農協つぶしではない」と協力を求めた。
だが、幹部の一人は「農協の監査は今の制度がベストだ。稲田さんは前のめりになっている」と冷や水を浴びせた。稲田氏も「世間に『農協つぶし』という間違ったイメージが広がっている。間違っていることを間違っているといっているだけです」と反論したが、会議は結論が出ないままに終わった。