子供の自立を促し信頼関係を築くために同研究所が重視するのは、子供の発言や思いを親がまず受け止め、それが本人に伝わるようにそのまま「こうだったんだね」と繰り返す「能動的な聞き方」。何かを改善してほしいときには「あなたはこうしなさい」と指示するのではなく、子供の困った行動が親にどんな影響を与え、親がどんな気持ちになるのか「わたしメッセージ」で伝える。子供が親の気持ちを理解し、自分で解決法を考えることで自立につながっていくという。
万が一子供が法を犯したらどうすればよいのか。小野沢さんは「子供が親を避けたり反発したりする場合が多いと思いますが、親は『お帰り』『おはよう』『ごはんあるよ』とだけ言い続けて」とアドバイスする。「二度としないで」などと何度も注意すると子供は「親はどうせ自分を信じていない」と感じ、かえって再犯へのハードルが低くなってしまうため、逆効果だという。
力みを捨てる
奈良少年刑務所で9年間、教育専門官として3千人以上の入所者と向き合った臨床心理士の竹下三隆さん(61)は「親の必死さが子供をゆがめてしまうことがある」と指摘する。