親が共働きだったり、ひとり親だったりする乳幼児を預かる保育園では、子供が使うシーツやエプロンなどを「手作りで」と保護者に、求めるところが少なくない。時間がない上、自宅にミシンもないという保護者にとっては心理的にも大きな負担だ。既製品全盛の中、手作りを求めるのは、「時代に合わない」という声も出ている。(村島有紀)
外注して2万円
「シーツを縫うんですか? うちには、ミシンがないんですけど…」
3月中旬、神奈川県内の保育園で開かれた入園説明会。0歳の子供がいる母親(40)は保育園から4月の入園までに敷布団、掛け布団のシーツの用意をするよう求められ、戸惑った。園にある布団の大きさに合わせたもので、指定サイズのシーツは市販されていない。
結局、近くの手芸店に布代を含め約1万円で注文した。母親は「仕事で忙しいから保育園に預けるのに、手作りのシーツを求めるなんて、全く意味が分からない」と不満を隠さない。
また、東京都内の保育園に長女(3)を通わせる母親(43)は、シーツだけでなくエプロンや着替えを入れる三角袋なども手作りを求められた。自分では作れないため、リフォーム店に外注し、材料費込みで約2万円かかった。「そんなに、働く母親を追い詰めないでほしい」と漏らす。