何となく前例踏襲
既製品が普及し、服や日用品を手作りする家庭は少なくなっている。自宅にミシンがないという家庭も少なくない。
最近は学校教育でも被服製作に力を入れていない。中学の家庭科と技術科が平成5年から男女共修化になった影響で、女子の家庭科の授業数は半減した。学習の内容は、既製服の手入れ法などが中心。「小学校のとき以来、針を触ったことがない」という人もいる。
それなのになぜ、保育園によっては、半強制的に手作りを求めるのだろうか。
都内のある公立保育園の園長は「保育園ができた当時、おそらく30~40年前からの名残でしょう。前例踏襲で何となく受け継いでいる園が多いと思う。また、自治体によってはシーツ代などの費用が負担できないという財政的な理由もある」と説明する。
一方、「情操教育の一環」として「親の手作り」を積極的に推奨する保育園もある。
インターネットメディア「ノーツマルシェ」などで活躍する保育情報アドバイザー、三木育美さん(42)は、4人の子供を都内の保育園に通わせた。その際には親子の絆を深めるため、ぬいぐるみやパジャマなどを手作りした。