岩根副社長は「分野やエリアにこだわらず、いろいろな企業と一歩踏み込んだアライアンス(提携)を走りながら考えていきたい」と述べ、新サービスの導入も検討するという。
森会長、八木社長と技術畑出身の社長が2代続いたが、次期社長の岩根副社長は経営企画畑が長く、社内外に豊富な人脈があるのが強みといわれる。岩根副社長を抜擢した理由は「環境変化の激しい時代に対応できる柔軟性とリーダーシップがある」(森会長)からだという。
ただ、次期社長には困難な課題が待ち構えている。仮処分決定に対して、関電は大津地裁に異議を申し立て、弁護団を8人から11人に増強。主張や立証の資料を分かりやすく改めて再構成した理由補充書を提出したという。しかし異議審を担当するのは仮処分を決定した同じ裁判長で、判断を覆すのは容易ではない。
原子力規制委員会への対応にも迫られている。高浜1、2号機は特例で認められた7月7日の期限までに運転延長審査など残りの手続きを終えなければ廃炉になる可能性がある。美浜3号機も審査が滞り、原則40年の運転期限となる11月末に期限切れとなる恐れもある。
6月の株主総会後の取締役会で正式に就任する岩根副社長が挑む課題は重く、一刻の猶予もない。その手腕が問われる局面だ。