ところが大津地裁が高浜3、4号機の運転を差し止める仮処分を認める判断を下したことでシナリオは崩れた。関電は大津地裁に異議と運転差し止めの執行停止を申し立てているが、決定を覆さない限り再稼働できない。電気料金の値下げは宣言した2週間後に撤回、株主への復配や社員のボーナス復活の見通しも立たなくなった。
経営判断のミスなどではなく、あくまで司法判断の結果だ。それでも経営環境に逆風が吹き荒れ、花道どころか、経営責任を問われかねない局面に暗転した。
背景は人事の停滞
この難局を乗り越えるためには森会長、八木社長の経営体制をあと1年続けるという選択肢はあり得たといい、森会長は「若干そのような思いが頭をよぎったが、仮に今の体制で続けたとしても、そう長くはできるわけではない」と打ち明けた。
いまの関電の社長の任期に内規などはとくにない。最長11年にわたって務めたケースはあるが、近年は5年程度で交代している。八木社長は22年の就任から6年近くが経ち、社長在任が長期化するとともに「社内の部長級くらいまでの人事が滞留していた」(関電関係者)と言われている。