新関空会社の志村常務は「アジアを中心に関空への増便意欲は引き続き高い。LCCは今後もさらに伸びる」と強調する。
関空は一時、就航便数が減少を続け、危機的状況に陥っていた。それをLCC重視に大胆にシフトすることで復活したという経緯がある。関空の運営権は来春にオリックスと仏空港運営大手のバンシ・エアポートの企業連合に移行する見込みだが、LCC重視の流れは変わらないとみられる。
関空の場合、LCCは中国や韓国などアジア向けが9割を超える。一部で航行時間が6時間を超える長距離線も出てきてはいるが、座席が比較的狭く利用者に窮屈な思いをさせるLCCはやはり航行時間が4時間以内の中距離路線が中心だ。
ある旅行会社幹部は「アジア向けの増便で関空の経営が安定するのは旅行会社にとっても喜ばしい。ただ、欧州線などの長距離便もしっかりと誘致して、国際空港としてのバランスを維持してほしい」と注文をつけた。
果たして夏期ダイヤで欧州便が戻ってくるのか。米国路線を含む長距離路線が増えなければ、アジア向けローカル空港の位置付けが定着しかねない。次回のダイヤ編成は、世界にウイングを広げる国際空港として地位を保てるか。今後を占う上で重要な分岐点になりそうだ。