「がんこ寿司」などの和食チェーンを全国展開するがんこフードサービス(大阪市淀川区)の接客係のサービスを競う社内コンテストが熱い。外食市場が縮小するなか、安定成長を続ける同社はしばしば「関西の外食の雄」と称される。その背景には「ありがとう」の言葉に無上の喜びを見いだす接客係の高いプロ意識があった。(栗井裕美子)
ラブラブカップル客への対応
「よろしければご注文をうかがいましょうか」
接客係の女性が客席に着いた男女の客に声をかけると…。
客の2人は見つめ合ったまま動かない。しばらく微妙な空気が流れた後、「ダーリン、愛している」「僕も」となんとも怪しげな雰囲気になっていく。
7月、大阪市淀川区の同社本社で開かれた「第5回接遇コンテスト」の決勝大会の一場面だ。客席が再現されたステージで客役の社員が迫真の演技で接客係の対応能力を試した。
微妙な空気になった場面に、約200人が集まった会場からどっと笑い声がわき起こった。接客係としては困惑しそうだが、出場した接客係は軽く一礼して少し下がり、場が収まるのを待っていた。