阿倍野・天王寺は、近鉄にとって「創業時から事業を営んできた土地」(小林社長)であり、協議会の事務局もつとめるが、それでも「あくまで主役は地元と考え、近鉄が中心となることに抵抗があるのかもしれない」(関係者)。
一方でハルカスを作った近鉄が商業施設や観光資源をまとめ、先導する役割を担うのが「自然の流れ」という声もある。言い換えれば、阿倍野・天王寺の発展には「近鉄村」の形成が不可欠だが、“及び腰”にもとれる近鉄が地元をまとめあげているとは言い難い。
「阿倍野・天王寺の潜在能力は高い」。関西の財界関係者は異口同音にこう話す。だが、近鉄がハルカス開業後もリーダーシップをとらなければ、今ある取り組みが画餅に終わってしまうことにもなりかねない。