草の根交流はプラスかマイナスか 移民論議の穴埋めるピース (1/3ページ)

最近、欧州の各国の人たちにEUのあり方をインタビューして、「いったい、草の根交流はプラスに働いているのだろうか?」という疑問を抱いた。

 草の根の国際交流には、いつも何らかの期待がある。国や大企業の公式の交流では叶えられない、親愛感や個人的な経験に基づいて相互理解が得られると思われている。そして、その理解を礎に個人的なレベルでは見えない世界に対しても、肯定的な態度をとるだろうとの希望がある。

 この数年、アフリカや中東からの欧州への難民が急増した。2015年、オーストリアではそれまでの年間1-2万人の難民が9万人近くまでに増え、その対応にNGOなどの団体のボランティア活動家が動いてきた。

 政府にできないなら自分たち市民が何とかするしかない、と自宅に難民を泊め文字通り身体をはっている。

 これが緊急事態の草の根交流の風景である。

 他方、難民だけではなく、移民(ここでは企業の駐在員であろうと、旅行ではなく長期間滞在する人を総称している)に対して、「反対」とおおっぴらに公言する人が増えている(気がする)。「移民をこれ以上受け入れたくない。まずは自国民の安全な生活を政府は優先して欲しい」と訴える。

 しかし移民反対という人たちも、自分の近くの友人の移民には「あなたは、ここにいて良い」とこれまた“公言”する。やや小さな声であっても。

 少々読み取りにくい状況だ。

「遠くの見えない人は排除」では寂しい

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