先週、ミラノ工科大学のインフォグラフィックの先生が、最近の成果を紹介してくれた。その1つにエンジニアリング、建築、デザインの3分野の論文などを分析し、どのような言葉が頻繁に使われているかを示した分布図があった。
エンジニアリング分野で使われている言葉は、その分野だけで使われていることが多い。分布図でエンジニアリングのまわりに言葉が集まる。それに対してデザイン分野で使われている言葉は、そういう偏りがない。図にすると、デザインの周辺に集まる言葉は極端に少ない。3つの分野で共通に使われる言葉がデザインの言葉だ。
建築はその中間だ。専門的な言葉もあるが、一般的な言葉もある。
それぞれの専門性の上下の話ではない。どれだけ特殊な言葉を使いこなすか、ということが専門性の高さをそのまま表すわけではないのだ。それらの特別な言葉を使わざるを得ない事情がある、というに過ぎない。
この分析から、一般の人にとってデザインがこれら3つのなかでは一番接近しやすいことが分かる。だからこそ、デザインの考え方をビジネスや行政の運営に適用しようとの動きが出るわけだ。
一般の人にいちいち翻訳しないといけない言葉が多いと、なかなか使えるものにならない。それがために、逆にいうと、そうとうに接近しづらい分野のことを、一般の人にも分かりやすく説明するという需要がある。